千恵の眼

自分の人生の中で勇気づけられた言葉や日々の思いなどを綴っていきたい。

別れは世の無常。だからこそ、今というこの時間を大切に生きる

 先日、東明寺で姪の新盆供養があった。
 姪は2月16日、46歳の若さで私達との別れの旅についた。思いだせば悲しみがよみがえるが、一方で、日々、身近に姪を感じることもある。
 
 別れを惜しむのは、人生の常であろう。私の好きな詩人に島崎藤村がいる。
 高校の時、国語の授業で島崎藤村の「千曲川旅情の歌」を暗記させられた。

「小諸なる 古城のほとり 雲白く 遊子悲しむ」から始まるこの詩は、藤村29歳の時、長野県小諸の懐古園で詠んだ旅愁の詩。
 藤村の作品に興味を持ったのは、今思うとこの頃のような気がする。

 大学時代、「惜別の歌」を仲間と歌うことがあった。この曲は島崎藤村の詩「高楼(たかどの)」の詩の一部が歌詞となっている。

 この詩に、曲をつけたのが藤江英輔氏(中央大学卒)
 収集令状により、戦地に赴く学友へ惜別の情を込め、藤村の詩に曲をつけたものだそうだ。自分の母校の先輩が作曲したものとは、知らなかった。

 母校の卒業式などで歌い継がれているこの「惜別の歌」は、小林旭倍賞千恵子小鳩くるみさんたちがレコーディングしている。

 この「惜別の歌」の歌詞と哀惜のメロディーは、私の好きな曲である。

「惜別(せきべつ)の歌」島崎藤村作詞・藤江英輔作曲

遠き別れに たえかねて
この高殿(たかどの)に 登るかな
悲しむなかれ 我が友よ
旅の衣(ころも)を ととのえよ

別れと言えば 昔より
この人の世の 常なるを
流るる水を 眺むれば
夢はずかしき 涙かな

君がさやけき 目のいろも
君くれないの くちびるも
君がみどりの 黒髪も
またいつか見ん この別れ

島崎藤村の原詩「高殿(たかどの)」は、嫁に行く姉に妹が別れを告げる内容だが、「我が姉よ」を「我が友よ」に変更して作曲されたそうだ。

戦後、「歌声喫茶」を通じて全国に広まり、小林旭の歌でレコード化されたとのこと。

自分は、小鳩くるみが歌う「惜別の歌」が好きである。一度、聞いてみる価値のある曲だと思う。