千恵の眼

自分の人生の中で勇気づけられた言葉や日々の思いなどを綴っていきたい。

与謝野晶子の憤りを教訓に。新型コロナウイルス対策。

 緊急事態宣言が5月31日まで延長された。記者会見での安倍総理の表明態度は、非常事態の「非」もわかっていないのではないかと感じる。精神論ではない。何を今、実行しなければならないのか。わからなければ、住民に身近な知事に、実行手段としての予算と権限を全面的に与えてはどうか。
 官僚が作った文章でしかモノを言えない日本のリーダー。せめて自分の頭で考え、自分の言葉で話をしてもらいたい。
 官僚のささやきに惑わされずに。今、生活に困っている人々の声に寄り添って、何をすればよいのかを。


 歌人として有名な与謝野晶子反戦歌(1904年)に「君死にたまふことなかれ」がある。私は、日露戦争での晶子の弟を思う真情(家族愛)に痛く心を揺さぶられた思いがある。「君死にたまふことなかれ」は次のように続く。
 ああをとうとよ、君を泣く、
 君死にたまふことなかれ
 末に生まれし君なれば
 親のなさけはまされしも、
 親は刃(やいば)をにぎらせて
 ひとを殺せとをしえしや、
 人を殺して死ねよとて
 二十四までをそだてしや

与謝野晶子の憤りと新型コロナウイルス対策

(作家・出町譲から一部抜粋)

 スペイン風邪が流行した当時は、医療機関も少なく、頻繁に家庭内感染が起きていた。晶子には11人の子どもがいたが、小学校で一人の子どもが感染したことがきっかけで、家族全員に感染した。
 晶子は、こうした体験を踏まえ「感冒の床から」と題した論評記事で政府を徹底批判した。
 「政府は学校や工場などの閉鎖を命じない一方で、子どもたちに混雑する場所に行かないよう警告している。学校閉鎖という強硬姿勢をとらず、自主性だけにゆだねた。」晶子はそんな政府のやり方に我慢できなかった。
 緊急事態宣言がなかなか出せなかった、今の政府を批判しているようだ。
 100年前に起こった出来事(スペイン風邪)から学び、実行できることは多くあるはずだ。感染症の拡大を防ぎ、一日も早い国民の生活の安心安定を図るためには、何をすべきか。
 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」これはドイツの鉄血宰相ビスマルクの言葉である。私たちは歴史から何を学ぶのか。学ばなければならないのか。

 安倍総理には「心耳を澄まして、天(国民)の声を聴く」この姿勢を強くとってもらいたい。与謝野晶子が弟を思う真情と同じように。その真情を国民に向けてもらいたい。それが国民の切なる願いでもあるはずだ。